まがりくん殺人事件

序章
 しとしとと、雨が降っている。
「くそ、まだ着かないのか!」
こんなはずじゃなかった。計画通り進んでいたはずだ。
足下がぬかるんできた、日も陰ってきている。
明日になれば奴らが動き出すだろう、、、
もう時間はない、、、
まずい、、、
く、、、


ー1ー
 林 森木(はやしもりき)は、いわゆる“普通”な高校生だった。特にスポーツが得意な訳でもなく、勉強だって中の上の下くらい。褒められも叱られもしない程度だ。クラスのムードメーカーでもなければ、いじめられている訳でもなく、適当にとけ込んでいるようなタイプだ。ちなみに彼女はいない。
 今日も友人の車 轟(くるまとどろき)とまがりくんと昼食をとっていた。いつも通りの風景だ。クラスの窓際で机をくっつけて三人で昼食をとるのは週間と言えるだろう。あいかわらずまがりくんはバランス悪そうな頭で飯を食っている。
「きょうもまがったキュウリとまがったバナナだけか?」
轟がからかうようにまがりくんに声をかける。どうでもいいが口の中は空にしてからしゃべらりるれ。
「この曲がってるのをさがすのが大変なんだよ☆」
弁当箱をあけながらまがりくんは答える。やっぱりキュウリとバナナだ。こんなんばかりで栄養バランスとれてんのか?
「最近の野菜はキュウリもまっすぐできれいな形ばっかり☆バナナだってなかなか曲がってないんだよね☆なんでもかんでもきれいにすりゃいいてもんじゃないと思うんだよね☆」
彼は彼なりのこだわりがあるんだろう。
ブロッコリーを毎日弁当に入れてくるヤツにそんなこと言う資格はないのかもしれないが。
「森はさ、今度のシルバーウィークどこかへ行くのか。デートでもするのかい」
轟のやつ、ちょっとばかしカワイイ彼女ができたからって、ちょっとばかしかわいいからって、、、
ええい、気に食わん。
「まがりくんは」
適当に話しを振る
「ファイヤージャムっていうイベントにいくよ☆」
轟と目が合った、
「え、まさか、あの、、、あの、ファイヤージャムに行くのか!?」
昼休みの雑踏のなかだから平気だったがそうとう大声で轟が叫んだ。
「そうだよ☆それ以外のファイヤージャムを知っていたらむしろ知りたいくらいだよ☆」
まがりくんは不適な笑みを浮かべている。
「そうだよな、、、わりぃ、ちょっと取り乱しちまった、、、」
轟はそのでかい図体をイスに戻しながら汗を拭いている。
気のせいか、まがりくんのいろがほんのり赤みがかってきているように見える、、、
これは気のせいなのか、、、
視界が揺れる、、、
頭が痛い、、、
「オレも、いくよ、、、」
え、なんだって
「ファイヤージャムに、、、」
おいおい、だれだよ、そんなこと言ってるヤツは、
轟か?やめておけ、、、
「森木、正気か!?」
轟に肩を揺すられて目が覚めた。ほんの一瞬気を失っていたようだ、
今の声はオレの声だったのか!
轟の目はいつものへらへらしたものじゃあない、、、
「ああ、本気さ、、、」
なぜだかそう答えるのが一番自然だと思ったのだ。


森木の足下にはブロッコリーが転がっている、
まるで森木の頭が転がっているかのように、、、
のちに首を落とされて死ぬことになる予言でもあるように、、、
まがりくんの表情は見えない
どんな顔をしているのか
笑っているのか
まがっているのか、、、


続かない


ファイヤージャム
9/21日にぼくらコーカスは出演します。
静岡での野外イベント。
コーカス発野外
台風それろ!